大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和28年(あ)411号 決定

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人池田純亮の上告趣意(後記)第一点は単なる法令違反、第二点は事実誤認、第三点は量刑不当の主張であって、いづれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない(福岡県条例第五二号金属回収業に関する条例には、その九条、一三条、一四条において従業員の遵守すべき事項を明記し、従業員がこれらの事項について違反した場合、同条例一六条により処罰されること第一点所論の通りであるが、右の外、同一〇条一項に所謂業者備付帳簿の記載方を担当する従業員が、その帳簿に所定事項を記載せず又は虚偽の記載をした場合においても、同一八条、一六条により処罰を免れないものと解するを相当とする。そして本件において、被告人が金属回収業者である被告人の内妻の従業員として備付帳簿に所定事項の記載方を担当しながらその記載をなさなかった事実は、原判決の認めているところであるから、右と同趣旨に出でた原判決は相当であって、所論のような法令の解釈を誤った違法も、その適用を誤った違法もない)。また記録を精査しても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により主文のとおり決定する。

この決定は、裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎 裁判官 池田克)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例